神奈川労連

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祝 第91回 神奈川県・横浜メーデー


メーデー100年目
新型コロナ 困難なときこそ知恵と工夫で
仲間に寄り添って成功させよう

 

メーデーは、万国の労働者が団結を示す日、そして労働者の祭典でもあります。今年は、日本でメーデーが開かれてから100年目となります。

コロナ禍のなかで、「集う」ことが難しくなっています。これまでは、「みんなで集まって」「みんなで議論して」「みんなで行動」と呼びかけていましたが、今は感染拡大防止の観点から「集まらないで」と呼びかけています。

こうしたなか、2020年メーデーを迎えます。どのように仲間との共同を作ることができるのか、メーデー実行委員会で議論した結果、「ネット・メーデー」の開催となりました。

「ネット・メーデー」によって、今までメーデーに参加することも知る機会もなかった仲間や新しい層との接点が持てます。

職場の労働者が「集う」には工夫が必要です。通勤時、昼休み時間、休憩時間、ちょっとした時間に、「今日はメーデーだね」と話し合ったり、ワッペンやプラカードに要求を掲げてみたりすることが、メーデーの参加につながります。

「ネット・メーデー」と「職場内メーデー」が結びつくことで、これまでになく5月1日の意義や大切さを広げることができます。困難な時だからこそ、労働者の知恵と工夫で広げましょう。

 

 

1920年5月2日、東京・上野公園で開かれたのが日本最初のメーデー、第1回メーデーとされています。しかし、その前日の1日に横浜公園で、「メーデー(労働祭)」が開かれています。その記録は、『神奈川県労働運動史(戦前編)』(神奈川県労働部労政課、1966年)などに残されています。

それによると、港湾労働者は、1日10時間労働、さらに日常的な時間外労働、休息は昼食時30分だけ。波浪の激しい日も、風雪のなかでも作業が強行され、文字通り命がけの仕事であって、死傷者も絶えませんでした。

全国的な労働運動の高揚とともに、1920年3月に初めて港湾労働者の大規模なストライキで賃金引上げを実現。同年4月に「横浜港労働組合」を設立、死傷・疾病の救済措置、時間外手当や作業手当などを要求し、「横浜港人夫請負団体」から具体的な回答があり、待遇改善が明文化されたという意味でも画期的なものでした。港湾労働者の「集い(萬国労働祭の記念日)」と組合結成をメーデーで祝ったのです。

1921年第2回メーデーは、東京、神奈川、大阪などで開かれ全国各地に広がりました。当時の新聞記事一面には、「女性が参加」と大きく報じられたように、女性労働者の権利と尊厳の確立がメーデーとともに全身ました。それから100年、女性の社会参加やたたかいはすすみましたが、非正規雇用労働者の多くが女性労働者となっています。しかし、声を上げる女性労働者が「集い」、仲間をつくり、性差別を認めない社会つくりが社会基盤の一つになりました。

 

 

日本が戦時体制下に入ると、1934年に「屋外集会禁止令」が出され、翌年には小集会や茶話会を含む労働者主催の集会や行事が禁止されました。1946年5月1日に戦後最初のメーデーが開かれました。

日本最初のメーデーと重なり1920年、「スペイン風邪」が全世界に感染拡大していました。当時、「外出自粛」「手洗い敢行」を呼びかけられました。

今年は、「新型コロナ」で屋外行動や「集い」の自粛、と似た状況ですが、私たち労働者自らが開催方法を見直した点が大きな違いです。こういう時だからこそ、メーデーの歴史と伝統をしっかりと引き継ぎ、「ネット・メーデー」への参加を呼びかけています

 

 

メーデー発祥のスローガンは「8時間労働制」の実現です。

日本政府が「週40時間制」を全面実施したのは1994年です。今でも実施の猶予措置が設けられ「週44時間制」となっている事業があります。

戦後最初のメーデー(第17回)スローガンには、「反動内閣打倒」「働けるだけ喰わせろ」「失業手当の制定」などと、「7時間労働、週休労働の確立」「婦人、青年差別撤廃」「働く母性を保護せよ」、そして「生計費を基準とする最低賃金確立」が掲げられています。

メーデーとともに労働者が「集い」「団結」したたかい続けた成果が、労働時間短縮や労働者保護施策、最低賃金の引き上げ、男女雇用機会均等法などです。

たたかいがすすむなかで、政府や財界は労働者の「集う」ことを分断するために、次々と労働法制の規制緩和をすすめ、その狙いは1984年の「新時代の日本的経営」で具体的に示されました。

間接雇用、非正規雇用の労働者は増え続け、常に最低賃金で働く労働者が全国に広がました。日本の労働者の賃金は世界先進国で唯一、下がり続けるという賃金引下げも始まりました。

しかし、神奈川での「最低賃金裁判」が築き上げた非正規、低賃金労働者の当事者が立ち上がり、「最低賃金1500円」の運動が全国に広がっています。

 

 

これまでの政権は、「自由な働き方」「労働者のニーズにあった働き方」として、労働者派遣法を1984年に強行しました。そして、安倍政権は「多様な働き方」の選択肢として「雇用によらない働き方=フリーランス」を重点に推進してきました。

しかし、新型コロナの感染拡大のなかで、労働や生活のセイフティーネットからの「疎外」が明らかになっています。安倍首相は自ら推進した「フリーランス」を「自己責任」として救済しようとしません。さらに、高齢者にも「雇用によらない働き方」を法制度で推進しています。「労働」を大きく変質させようとしています。

賃金が下がり続けているだけではなく、税金や社会保険料、そして消費税も引き上げています。労働者は源泉徴収によって賃金の25%近くも引き去られています。

大企業優遇税制によって、大企業の内部留保は莫大な金額となり、昨年だけで23兆円も増えています。内部留保に課税して、社会に還元させることによって、消費税を減税することが可能なことも明らかになっています。

労働者の生活を改善する施策は行わず、大企業と富裕層を優遇し続ける安倍政権を倒すことが、要求実現の道です。

労働者の働き方、生活が厳しくなるなか、働くことが困難な仲間に寄り添って、労働組合の原点に立つ2020年メーデーを成功させましょう。

 

 

「メーデー歌」

(大場勇作詞・栗林宇一作曲)

聞け万国の労働者/とどろきわたるメーデーの/示威者(しいしゃ)に起る足どりと/未来をつぐる鬨(とき)の声

メーデーでは、うたごえのみなさんが「メーデー歌集」を配り、歌声で会場を盛り上げています。歌によつて団結が深まり、高揚するのは100年前も今も同じです。

労働者の要求やたたかいに「愛」をこめて、101年目のメーデーにむけて新たな歩みをすすめましょう。

神奈川県労働組合総連合
議長 住谷 和典

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